不正咬合の原因と影響

歯並びが悪くなる原因

・乳歯の虫歯
乳歯の虫歯を放置してしまったり、歯医者さんで抜いてそのままにしていると、永久歯の並ぶだけの十分なスペースが確保できなくなって不正咬合になってしまいます。
虫歯の場合は早めに治療し、早めに抜いてしまった場合はその隙間を保持しておくような処置が必要です。
・悪習癖
爪を咬む、タオルケットを咬む、指しゃぶり、唇を咬む、おしゃぶりの常用など。
指しゃぶりや何かを咬む癖があると、前歯が開いた咬み合わせ(開咬)や出っ歯(上顎前突)になってしまいます。
乳幼児期のおしゃぶりの使用は生理的なものですが、3歳くらいで止める事をお勧めしています。
・口呼吸
ただ単に悪習癖として口呼吸をしてしまっている場合と鼻疾患によって鼻で呼吸することが困難なため口で呼吸している場合があります。
前者の場合は悪習癖の除去、後者の場合は鼻疾患の治療が必要となります。口呼吸は唇の筋肉と舌の力のバランスが崩れるために様々な不正咬合の原因となります。また様々なウイルスをそのまま肺に送り込んでしまうため、健康にも悪影響があります。
・遺伝
歯並びが直接遺伝するというよりは、骨格が遺伝します。
特に顕著なのは反対の咬みあわせ(反対咬合)です。反対の咬み合わせの原因は、遺伝によるものが少なくありません。この場合は早めに治療を開始し、正しい前歯の咬み合わせを確立させ成長期に備えることが大切です。
・環境
食生活や体の健康も不正咬合には関連があります。
適度に運動をし、良く咬んで食べ、健康に生活することが口腔内の健康にもつながります。

悪い歯並びの影響

・外見的な問題
子供でも大人でも見た目は気になります。
口元を気にして大きな口を開けて笑えなかったり、外見を気にして内向的になってしまうことがあり、いじめの原因にすらなりえると言われています。
・虫歯、歯周病、口臭
歯並びが悪ければ当然、虫歯や歯周病なりやすくなり、口臭の原因にもなります。たとえどんなにきれいに磨いても、歯並び自体が悪ければ限界があります。
歯並び矯正歯科治療は最大の予防策です。
・顎関節への影響
歯並びが悪いと自然な顎の位置で咬めずに、顎に悪い影響が出ることがあります。顎関節症の原因の一つでもあります。
・全身の健康への影響
咬み合わせが悪いと肩が凝ったり、腰が痛くなったり、全身の健康に影響が出ることがあります。
また、集中力が欠如したり、イライラしたりと、精神的な影響もあります。
・発音
歯並びによって、舌の動きや唇の動きに影響がでたり、口がうまく閉じれないために空気が抜けて発音が不明瞭になったりします。
・偏った成長や劣成長
咬みづらいために片側でばかり咬んでいると、顎の成長が左右で差が出て、曲がった顎になってしまいます。
又、あまり咬まずに飲み込んでいると、健康にも悪く顎が十分に成長しない事があります。

矯正歯科治療の基礎知識

歯はなぜ動くんでしょうか。
歯は骨に埋まっています。
歯に力を加えると、力の加わった部分の骨に破骨細胞というのが現われ、骨を溶かし、それによって歯が移動します。
歯の移動が起こると、スペースのあいた部分には、今度は骨芽細胞というのが現われ、骨を作るのです。

これを繰り返し歯は動いていきます。歯並び矯正歯科の装置を入れ、歯に弱い力を持続的にかける事で、歯の移動を少しづつ繰り返し、悪い歯並びや噛み合わせを治すのが歯列矯正です。

歯は一ヶ月で大きな距離を動かすことは出来ません。
骨の本来持っている代謝機能を利用して歯を動かすので、どうしても時間はかかりますが、元々に生体の持っている機能を利用して歯並びを治すので、歯や歯周組織に負担をかけずに治療が出来ます。

歯並びが悪いことには様々な原因があり、それによって色々な影響があります。
その原因や影響を知っておくことは、治療をする上でとても大切です。

敵をよく知っておきましょう。