小児矯正:小児矯正のポイント

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  • 矯正治療の開始時期
  • 反対咬合の早期治療

小児矯正のポイント

子供の矯正歯科治療とおとなの矯正歯科治療とで大きく違うのは、成長を利用出来る点と治療に対する自由度が大きい点です。
大人の場合は出来上がった器の中でいかに効率よく、美しく、歯を並べるかを考えますが、子供の場合は成長が利用出来る上に、骨も柔らかいため、治療の自由度が非常に高くなります。

そのため、この時期から矯正歯科治療を始めることで、歯を減らすことなく永久歯列に誘導出来たり、骨格的な不正を取り外しの出来る装置で改善出来たりと、成人では不可能な治療が可能です。早期治療のメリットは大きいです。

将来の正しい咬み合わせのために、早めの治療をお勧めしております。

歯を抜くか抜かないか

日本人は骨格的に顎の骨が大きくありません。
そのため、歯が並びきらない「叢生」というデコボコのある歯並びになる事が多いです。
これは歯の大きさと歯の器である骨の大きさのバランスが悪い事が原因です。

5人掛けの椅子があるとしましょう。この椅子がここで言う顎の骨です。
そこに5人が座ります。この座る人が歯です。

標準の歯の並び

日本人の多くの場合は、この椅子が小さいのです。5人掛けの椅子に4人座っている、こんなイメージです。
そうすると、座りきれずにデコボコになってしまいます。その状態が「叢生」です。

叢生の状態

では、その場合の矯正歯科治療はどうすればいいでしょうか?
おおまかに3つの治療法があります。

椅子を4人掛けから5人掛けにしてみんなを座らせる

①椅子を4人掛けから5人掛けにしてみんなを座らせる。

椅子は4人掛けのままで、座る人数を4人に減らす

②椅子は4人掛けのままで、座る人数を4人に減らす。

椅子は4人掛けのままで、座る5人をそれぞれ痩せさせる

③椅子は4人掛けのままで、座る5人をそれぞれ痩せさせる。

①は歯並びでいうと歯を抜かないで治す時のイメージです。椅子を大きくするとは骨を拡げる事にあたります。
主に骨が柔らかい小児期には有効な治療で、顎の骨を拡げて歯を減らさずに並べる方法です。

②は歯を抜いて治す時のイメージです。
歯と骨の大きさの不調和があるので、歯の本数(座る人数)を減らして、座らせる治療です。

③これは、歯を少しずつ削って細くして並べてしまう方法です。
ただし、歯の削れる量には限りがありますので、適応はあまり広くありません。

歯を抜くことは、誰でも嫌なことです。
出来れば抜かないで治したいと思うのは当たり前です。それは、矯正治療をする医師も同じです。

しかし、抜かないことで生じるデメリットもあることは忘れてはいけません。
無理矢理に抜かずに並べることによって、骨に無理がきたり、出っ歯になったり、不自然に幅の広い歯列弓になったりという事があります。抜かないで治す事が必ずしも最良の選択であるとは限りません。

抜く先生=悪い先生 抜かない先生=良い先生 というのは大きな間違いです。

「非抜歯矯正歯科」「抜かない矯正歯科治療」 抜かないことを前面に押し出して、ウリにしている矯正歯科医院があります。
歯を抜くか抜かないかは、本来、歯科医師が決めることではなく、患者さんの骨格であり歯並びが決めることであると考えます。抜かないことを大前提にして歯並びの話をすすめることは非常にナンセンスです。

担当医と各治療法によるメリット、デメリットを十分に話し合って、自分にとって最善の矯正治療方法を見つけること。
そして、そういった質問にきちんと答えてくれるような矯正歯科医院を選ぶこと、が最も大切な事です。