小児矯正:反対咬合の早期治療

  • 小児矯正のポイント
  • 子供の矯正装置
  • 矯正治療の開始時期
  • 反対咬合の早期治療

反対咬合の早期治療

3歳時健診で反対咬合(受け口)を指摘されて相談に来られる患者さんがいらっしゃいます。
受け口の場合の治療に際してのポイントをまとめておきます。

・「様子を見ましょう」で心配ではありませんか?
以前は3歳では治療は必要ありません、とされておりました。
その理由は低年齢児でも使用できる装置がなかったり、歯の型を採ることが困難であったからです。
しかし、3歳児の反対咬合が自然治癒する率は6%しかないことが研究で明らかにされました。それに伴い、最近、歯列矯正用咬合誘導装置『ムーシールド』という装置が開発されました。これは非常にシンプルな矯正歯科装置で、3歳からでも使用出来る装置です。
・上顎の出っ歯と反対咬合ではどちらが早くから治療をするべきだと思いますか?
答えは反対咬合です。
下顎は身長の伸びと関係があるため、これから大きく伸びてきます。下顎が伸びる時期に前歯の咬み合わせが逆であると、下顎は伸び放題に伸びてしまい、反対咬合は悪化します。
今の時期に、前歯を正しい咬みあわせにしてあげることで、下顎の伸びを上の前歯が抑えてくれるのです。逆に上顎の出っ歯の場合は下顎がこれから伸びるために、方向性としては、良い方向に進むわけであり、慌てて矯正治療を開始しなくても良い場合が多いのです。
・遺伝しますか?
反対咬合は遺伝の場合が多いです。
反対咬合には2種類あって、①骨格によるもの、②歯によるものがあります。①の骨格によるものは、大部分は遺伝であり、この場合の治療は難しいです。今の時期に前歯の咬み合せを正しくしておくことはとても大切ですが、骨格が原因である(ご家族に反対のかみ合わせの方がいる)と将来は下顎がグンと伸びてしまう可能性はあります。人間の成長を完全に抑制する事はなかなか難しいのが現状です。 逆に②のケースであれば、今のうちに前歯を治すと、そのまま落ち着いてくることも多いです。歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)はご自分で取り外しの出来る矯正歯科装置(マウスピースのようなもの)です。受け口の前歯を改善する目的で使用されます。通院は1~2ヶ月に1回15分程度で、きちんと使うことで1年程度の使用で効果が表れる場合が多いです。
ただし、 歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)はどんな症例にも効果があるわけではありません。
一度、ご相談ください。